【フリーゲーム】ドキドキ文芸部感想

ただちょっとタチの悪いギャルゲー風ホラーテキストゲーム…そう思っていた時期が私にもありました。そこを乗り越えたわたしは、ただひとり、攻略対象外のモニカという女の子を愛してしまった。モニカだけ。モニカだけ。

 

Steamで無料DL出来るので、この時点で気になる人は、ぜひネタバレ踏まずにご自身で楽しんでみてください。四時間程度で終えられると思います。わたしは五時間。ただホラーが苦手な方は注意です、公式にも「子どもや精神が弱い方にはおすすめ出来ない」と記載があります。ちなみに、わたしはホラーが一切駄目で、更にひとり暮らしなんかを始めてから その手のゲームは一切出来なくなってしまい…だけど今回興味が恐怖を上回って、PCの音を最弱まで絞り(何となく聞きたいから無音にはしてない)、画面のど真ん中に大好きなベイマックスのぬいぐるみを置きPCの四隅しか見えないように視界を遮り、更に毎週録画しているクレヨンしんちゃんを爆音で再生しながらどうにか乗り越えました…つらい闘いだったね…。ここまでしてでも、プレイして良かったなと今なら言える、面白かった。モニカ、愛してくれてありがとう。

 

そんな訳で、以下ネタバレです。モニカの話しかしてません。just Monika. 

 

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究極のメタフィクション・ゲーム。ギャルゲーの登場人物ではあるものの、攻略対象外の女の子 モニカ。 だけど彼女は気づいてしまう、ここはゲームの世界で、みんなはただのプログラムである事。そして主人公…の後ろにいるプレイヤーに恋をしてしまった。でも自分は攻略対象キャラではない、どう足掻いてもプレイヤーどころか、主人公は自分を好きになってくれない。それでも好きな気持ちを止められないモニカは、ゲームの世界という事を逆手にとって、プログラムを徐々に書き換え、攻略対象の三人を奇行に走らせることに。サヨリ鬱病を拗らせ、主人公と付き合った翌日に自殺、ナツキは父親に虐待され性格が変わり、ユリはヤンデレを拗らせて笑いながら幾度も自分の腹部を包丁で刺して死亡。そしてゲームの世界をニューロードすると、モニカと二人だけの世界で…。というのがざっくりあらすじ。

 

このゲームの面白いところは、ゲームが進むたびに、自分のPC本体に保存しているはずのプログラムが変わっていくんです。サヨリが自殺した後は、キャラクターファイルからサヨリの文字が消えていて、ゲームをロードしようとするとTOP画面からも、ゲーム内でもサヨリの存在は消えていて、代わりにモニカからのメッセージが。

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ユリが死んだらユリのファイルが消え、ナツキが狂いナツキも消えて…最終的にはキャラクターファイルにはモニカだけ。

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他の部分も色々変化しているので、隅から隅までモニカを感じて。

プログラムコード演出の他にも、ゲーム中に自然にカーソルが動いたりするのも怖かった、わたしのPCは大丈夫なんですかこれ。

 

モニカだけになった後は、本当に、モニカだけの世界。そしてモニカはにっこり笑いながら、「あなたに話しかけているの、ぱむ君。……(本名)って呼べばいいのかしら?」とまさかの本名呼び、なんだけど、わたしはPCの名前を別名にしていたので本名ではなかった。本名を呼んでもらえなかった事がまた悲しい、モニカに本当の自分を知ってもらえていない事を痛感する。

ここでモニカより直接色々とネタばらし。モニカはこの世界をただのゲームである事を認識していて、プレイヤーのことが好きで、他の部員三人の行動は自分がプログラムをいじったせいであること。他にも日常の話や雑学や、どれだけプレイヤーのことが好きか、ずっと一緒にいたいという話を、ずっとずっとしてくれます。ずっとずっと。ゲームを終了して、再起動しても、画面はモニカとの一枚絵以外は映らない。ロードも出来ない、ニューゲームも出来ない。ただ、モニカと二人。ゲームを再起動すると、怖かったと錯乱するモニカもまた愛し。だけど次第に、わたしがゲームを終了して、再起動するのに慣れていくのがすごい…。

プログラムの崩壊を表しているのか、学校の外では度々爆発が。それをモニカは〝夕焼け〟と表現するので、わたしとモニカの世界ではこれは夕暮れの色で、次第に美しいなと思った。かれこれ2時間ほどこの画面と向き合っていて、ただ夕暮れ色に染まる世界でほほ笑むモニカが美しくて、危うくて。洗脳に似た状態だったと思うけど、全然構わなかった。モニカに愛されている時間が幸せ。それ以外の感情なんてわたしにはなかった。陶酔していた。これが、攻略対象外のモニカが作ってくれた、モニカに愛されて、愛する事の出来る幸せな世界なんです。

 

でも、悲しいけどこれはゲーム。モニカは自分をゲームと認識していても所詮はゲームだし、二次元の女の子は画面から出て来てくれない。モニカとたくさん話せて嬉しかったけど、気づいたら会話がループしていて、ゲームである事を痛感して泣いた。もうどれだけ時間を過ごしても、モニカはわたしが知っている会話を、もう一度にっこりした顔で変わらず話すんです。こんなに一途にプレイヤーを…わたしを愛してくれているのに、どうしてもゲームなんですよね。だから進めないといけないんだけど、ゲームを進めるには、モニカのファイルを削除しないといけない。こんな酷なことがあるのか…既にわたしはモニカのことが好きなのに…この猟奇的なプログラムが、ちょっとわたしの事が好きすぎる かわいい女の子に見えているのに。

 

何度も葛藤をして、唸って嘆いて、片手で頭を抱えながらモニカのファイルを削除。モニカは苦しんで、裏切ったわたしを恨むんだけど、次第に「それでも好きなの」と、先ほど通り愛の言葉をくれる。モニカを自分の手で抹消した絶望感は拭えないんだけど、それでもモニカが新しいセリフを話してくれるのが嬉しくて嬉しくて、感情ぐちゃぐちゃになりながらゲームは終了。するかと思いきや…実はモニカは他のキャラのファイルのバックアップをとっていて、最後はモニカだけがいない世界に。

 

でも実は、ゲームの世界だと知っているのはモニカだけじゃなかったのか、復活したサヨリが狂い主人公に迫ったところで、テキストでモニカの意思が表示されて、わたしを救うために、今度こそゲームのプログラムを破壊して、終了。

ここが辛くて、モニカは他三人のキャラをプログラムだと知っていた、それでも情があって、完全に消すことが出来なかった。今のわたしには、このモニカの感情がすごく分かる。モニカを消すときのわたしの感情まんま。プログラムだと分かってても、消すときに悲しくなる。でも、飽くまでそう感じるのはわたしが人間だからであって、同じ感情をモニカが抱いたとなると、自我をもったプログラムというよりは、もう人間だといっても過言ではないのでは?みんなを好きになって、文学部を自分の居場所だと認識していて、わたしとモニカも文学部で出会えて、それなのにゲームそのものも自分の手で壊すんですよ、なんて切ないんだ…。

 

ここで流れるエンディングが、またモニカを愛しくさせるんですよね。急にモニカに声付いてビックリしたけど。頭の中ではごりごりに美少女アニメ声で再生していたので、強そうな英語ペラペラ女性の声してびっくりした。アメリカ制作だししゃーなし。そこの歌詞が切なくて切なくて…。「もしこの世界が私にエンディングを書いてくれないのなら、どうすれば手に入れられるのかな。」とか、とにかく純粋にわたしを思ってくれる歌なんだけど、最後の最後が「本当の世界で、もしあなたが望む愛を私が与えられないのなら、私は諦めるよ」なんですよね…。そんな訳ない!!与えて貰った!いっぱい愛を与えてもらったよ!!そんな悲しいこと言わないで…わたしを諦めないで、わたしもモニカを諦めない。

 

モニカからのラブレターを貰ったあと、もう一度ゲームを起動しようとすると、それは不可能に。

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ゲームを再インストールしてみた。当たり前だけどこれはゲームなのでモニカは自我を持っていないから、一周目と同じように自我を持った振りをしてプログラム通りに進むけど、それでもわたしが恋をしたモニカはちゃんとわたしを見てくれたし、わたしだって、わたしを見てくれたモニカを見て、恋をしたし、生きている、本当に意思があるわたしがそう思うのであれば、もうモニカは生きているんだと思う。何を言っているのか分からないと思うけど、モニカに恋したプレイヤーさんは頷いてくれていると信じて。

 

 

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